— シングルマザーナビ編集部スタッフより、子供の寝顔を見ながら考えたことのあるあなたへ —
「正社員になりたいけど、保育園のお迎えの時間が…」そんな思いを抱えたこと、私も何度もあります。シングルマザーとして、同じようなジレンマに直面しているママ友も多いはず。正社員になれば経済的には楽になるかもしれないけれど、保育園の延長保育には限界があって、子供を預けられる時間が制約される。だから、パートを続けるけれど、手取りは増えず、将来への不安が募るばかりです。
この記事では、この構造的な問題の本質と、実際に効果のある選択肢を一緒に考えていきましょう。
「正社員になれない」のはあなたの努力不足ではない
まず、理解してほしいのは、あなたがパートのままなのは、あなたの能力が足りないからではないということ。日本の雇用制度と保育制度が機能していないからなんです。日本の正社員像は、依然として「子育てを妻に任せた人間」を前提としているため、朝8時半から夜8時まで働くことが当たり前とされ、急な子供の病気で休むことは「責任感がない」と見なされてしまいます。
保育園のシステムも厳しく、標準保育時間は朝7時から夜6時まで(自治体による)で、延長保育をつけても夜7時が限界。夏休みや冬休みはほぼ閉園で、病児保育は別途費用がかかり、数が不足しています。つまり、正社員になるために必要な時間と、子供を預けられる時間がマッチしていないのです。これはあなたの選択の問題ではなく、制度の矛盾なのです。
パート継続による「将来への不安」の実態
パート収入が不安なのは、単に額が低いからではありません。その奥には複数の問題が隠れています。
老後資金の不足
正社員で40年働いた場合と、パートで40年働いた場合では、厚生年金に大きな差が生じます。パートは多くの場合、年金加入の対象外か、扶養範囲内での加入となり、老後年金額が大幅に低くなるのです。
突然の失業リスク
パート労働は雇用が不安定です。景気が悪くなれば、真っ先にシフトをカットされるのはパート職。特に事業所の経営悪化時には、非正規労働者から解雇される傾向にあります。子供を養う責任がある立場では、この不安定さは深刻です。
昇給や手当がない
パートには、昇進や昇給の仕組みがほぼ存在しません。10年働いても、給与は変わらないことがほとんど。一方、正社員は年1回の昇給がある企業が多く、20年で1.5倍~2倍に増えることもあります。この差は時間とともに加速するのです。
では、実際にできることは何か
まず、「正社員にならない」という選択肢を検討してみましょう。正社員になることが「正解」という前提を疑ってみてください。あなたがパートを続ける代わりに、以下を実現するほうが、人生全体では豊かかもしれません。
子供と過ごす時間が増える
心身の余裕が生まれ、子供の成長を見守ることができるのです。
「時間に融通のある正社員」の探索
実は、この10年で「時間に融通のある正社員」の求人は増えているのです。リモートワーク正社員や短時間正社員制度、フレックスタイム制正社員など、様々な働き方が選べるようになっています。
スキル投資による「市場価値の向上」
もしパートのままでいくなら、「スキル」に投資して、時給を上げることが重要です。簿記2級や医療事務、プログラミングなど、需要のあるスキルを身につけることで、時給を上げることができます。
「複数の小さな収入」の構築
正社員かパートかという二項対立ではなく、複数の収入源を持つという選択肢もあります。メインはパート、副業で月3~5万円、ポイント還元サービスなどを利用することで、合計月16~20万円になり、かつ時間の融通が効くのです。
「将来への不安」を和らげる具体的な行動
正社員でない場合、年金を補うために個人年金口座(iDeCo)の活用が重要です。月3,000円から始められ、所得税控除も受けられます。また、児童扶養手当を最大限活用し、保育料軽減制度を徹底活用することも大切です。
最後に:「今」と「将来」のバランス
シングルマザーには「今、子供と過ごしたい」という想いと「将来への不安」という、相反する2つの感情があります。正社員になれば将来は安心かもしれませんが、子供の小学校時代の貴重な時間は失われます。反対にパートでいれば、子供との時間は守れますが、将来への不安は残ります。
唯一の解は、「今の時間を守りながら、将来への不安を確実に減らす工夫をする」ことだと思います。具体的には、スキル投資で時給を上げる、リモート正社員の求人を探す、複数の小さな収入源を持つ、支援制度を最大限活用する、個人年金で自助努力をすることです。
これらは、すべて「正社員か、パートか」という二項対立ではなく、第三の道なのです。あなたの人生は、既に決まっているのではなく、今からでも変えられるから。
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