「自立支援金って何?」「私ももらえるの?」シングルマザー向けの支援制度は色々ありますが、その中でも「自立支援金」は知らない人が多い制度です。
実は、この制度を使えば、資格を取りながらお金がもらえたり、就職活動中の生活費が支給されたりします。今回は、自立支援金の種類と申請方法を、私の経験をもとに詳しく説明します。
自立支援金とは何か
自立を助けるための給付金
自立支援金とは、ひとり親家庭が経済的に自立できるよう支援するための給付金です。
特徴
- 返さなくていい(貸付ではなく給付)
- 仕事のスキルアップに使える
- 就職活動中の生活費になる
生活保護とは違い、働くためのサポートをしてくれる制度です。
主な自立支援金の種類
シングルマザーが使える自立支援金は、主に3つあります。
1. 高等職業訓練促進給付金 看護師や保育士などの資格を取るために学校に通う間、生活費がもらえる
2. 自立支援教育訓練給付金 資格取得のための講座を受講したとき、受講料の一部が戻ってくる
3. 住宅支援給付金 家賃の補助(自治体による)
今回は、特に利用者が多い「高等職業訓練促進給付金」と「自立支援教育訓練給付金」について詳しく説明します。
高等職業訓練促進給付金
どんな制度?
1年以上学校に通って資格を取る場合、その間の生活費を支給してくれる制度です。
いくらもらえる?
- 住民税非課税世帯:月10万円
- 住民税課税世帯:月7万500円
これが学校に通っている期間、毎月もらえます。2年間の看護学校なら、最大240万円(月10万円×24ヶ月)です。
さらに修了支援給付金も 資格を取得して学校を卒業したら、修了支援給付金ももらえます。
- 住民税非課税世帯:5万円
- 住民税課税世帯:2万5千円
対象になる資格
すべての資格が対象ではありません。以下の資格が対象です。
主な対象資格
- 看護師
- 准看護師
- 保育士
- 介護福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 歯科衛生士
- 美容師
- 調理師
- 製菓衛生師
1年以上の修業期間が必要な資格が対象です。
私の友人は、この制度を使って准看護師の資格を取りました。2年間、月10万円もらいながら学校に通い、今は月収30万円以上稼いでいます。
申請できる条件
誰でももらえるわけではありません。以下の条件を満たす必要があります。
条件
- 児童扶養手当を受けているか、同等の所得水準
- 1年以上の養成機関で資格取得を目指している
- 仕事と修業の両立が困難(基本的に学業に専念)
- 過去に同じ給付金を受けていない
「仕事と修業の両立が困難」というのがポイントです。看護学校は実習もあるので、フルタイムで働きながらは難しいですよね。
申請の流れ
ステップ1:学校を決める まず、取りたい資格と通う学校を決めます。学校に入学する前に申請する必要があるので、早めに動いてください。
ステップ2:市区町村に事前相談 学校に申し込む前に、必ず市区町村のひとり親家庭支援窓口に相談してください。
相談内容:
- この資格は対象になるか
- 自分は条件を満たしているか
- 必要書類は何か
ステップ3:申請書を提出 学校の合格通知が来たら、すぐに申請書を提出します。
必要書類:
- 申請書
- 児童扶養手当証書のコピー
- 学校の合格通知または在学証明書
- 住民票
- 所得証明書
ステップ4:審査・給付決定 審査に通れば、給付決定通知が届きます。
ステップ5:毎月の支給 決められた日に、毎月給付金が振り込まれます。
注意点 学校に入学してから申請すると、入学前の期間は支給されません。必ず入学前に申請してください。
実際に使った人の声
私の知り合いで、この制度を使った人の話を紹介します。
Aさん(35歳)のケース
- 元パート、年収150万円
- 准看護師学校に2年間通学
- 月10万円×24ヶ月=240万円受給
- 修了支援給付金5万円
- 合計245万円
Aさんは「この給付金がなかったら、絶対に看護師にはなれなかった。今は月収28万円で、生活が楽になった」と言っていました。
自立支援教育訓練給付金
どんな制度?
資格取得のための講座を受講したとき、受講料の一部が返ってくる制度です。
いくら戻る? 受講料の60%が戻ります。
- 上限:20万円(一部の講座は80万円)
- 下限:1万2千円以上の受講料が対象
計算例 受講料5万円の講座を受けた場合: 5万円 × 60% = 3万円が戻る
受講料30万円の講座を受けた場合: 30万円 × 60% = 18万円が戻る
対象になる講座
厚生労働大臣が指定する教育訓練講座が対象です。
主な対象講座
- 医療事務
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 登録販売者
- 簿記検定(2級・3級)
- パソコン講座(MOS検定など)
- 宅地建物取引士
- ファイナンシャルプランナー
ハローワークのサイトで「教育訓練給付制度 検索システム」を使えば、対象講座を調べられます。
私はこの制度を使って、医療事務の講座を受けました。受講料6万円のうち、3万6千円が戻ってきたので、実質2万4千円で資格が取れました。
申請できる条件
こちらも条件があります。
条件
- 児童扶養手当を受けているか、同等の所得水準
- 対象講座を受講している
- 過去に同じ給付金を受けていない(または前回から一定期間経過)
高等職業訓練促進給付金より、条件はゆるいです。
申請の流れ
ステップ1:受講前に相談 講座を申し込む前に、必ず市区町村のひとり親家庭支援窓口に相談してください。
重要:受講前に相談しないと、給付金がもらえません。
ステップ2:対象講座か確認 窓口で、受けたい講座が対象かどうか確認してもらいます。
ステップ3:受講開始 講座を受講します。
ステップ4:受講修了 講座を修了したら、修了証明書をもらいます。
ステップ5:申請 講座修了後30日以内に申請します。
必要書類:
- 申請書
- 児童扶養手当証書のコピー
- 受講修了証明書
- 領収書
- 教育訓練給付金支給要件回答書(ハローワークで発行)
ステップ6:給付金の振り込み 審査に通れば、指定した口座に振り込まれます。
注意点 修了後30日を過ぎると申請できなくなるので、早めに手続きしてください。
住宅支援給付金(自治体による)
家賃補助の制度
一部の自治体では、ひとり親家庭向けに家賃補助があります。
例:東京都の住宅手当
- 月額10,000円まで
- 所得制限あり
- 賃貸住宅に住んでいることが条件
自分の住んでいる自治体に制度があるか、役所に問い合わせてください。
私が住んでいる自治体では、月5,000円の住宅手当があります。年間6万円は大きいです。
失敗しないための注意点
事前相談を絶対に忘れない
これが一番重要です。
よくある失敗
- 講座を受けてから相談に行った → 給付金がもらえない
- 学校に入学してから申請した → 入学前の期間は支給されない
どんなに焦っていても、必ず先に相談してください。私も最初、知らずに講座を申し込んでしまい、慌てて相談に行ったことがあります。
修了しないと一部返還
途中で辞めた場合、給付金の一部を返さなければならないことがあります。
返還が必要なケース
- 自己都合で退学した
- 正当な理由なく出席率が低い
- 資格試験に合格しなかった(制度による)
本気で資格を取る覚悟がある人だけ、申請してください。
所得制限に注意
児童扶養手当と同じ所得制限があります。
目安 年収365万円以上の場合、対象外になる可能性が高いです(扶養人数による)。
ただし、「児童扶養手当と同等の所得水準」という基準もあるので、児童扶養手当をもらっていなくても、相談する価値はあります。
他の支援制度との併用
他の制度と一緒に使える
自立支援金は、他の制度と併用できる場合があります。
併用可能な例
- 高等職業訓練促進給付金 + 職業訓練受講給付金(ハローワーク)
- 自立支援教育訓練給付金 + 一般教育訓練給付金(雇用保険)
ただし、自治体によってルールが違うので、必ず窓口で確認してください。
ハローワークの支援も活用
ハローワークにも、無料の職業訓練があります。
ハロートレーニング
- 受講料無料(テキスト代は自己負担)
- 訓練期間中、月10万円の給付金(条件あり)
自立支援金と組み合わせることで、さらに手厚い支援が受けられます。
よくある質問
Q1:パートをしながらでももらえる?
A:ケースバイケースです
高等職業訓練促進給付金は、基本的に学業に専念することが条件です。でも、週に数時間程度のアルバイトなら認められることもあります。窓口に相談してください。
自立支援教育訓練給付金は、働きながら講座を受けてもOKです。
Q2:資格試験に落ちたらどうなる?
A:給付金は返さなくていい場合が多いです
学校を卒業したけど資格試験に落ちた場合、基本的に返還は求められません。ただし、自治体によって違うので確認してください。
Q3:40代でも申請できる?
A:年齢制限はありません
何歳でも申請できます。私の知り合いは45歳で保育士の資格を取りました。
Q4:子どもが高校生でももらえる?
A:基本的にはもらえます
児童扶養手当の対象年齢(18歳の年度末まで)であれば、対象になります。
申請窓口と相談先
どこに相談すればいい?
市区町村の窓口
- ひとり親家庭支援課
- 子育て支援課
- 福祉課
窓口の名前は自治体によって違います。「ひとり親支援について相談したい」と言えば、適切な窓口を案内してくれます。
相談のコツ
聞くべきこと
- どんな支援制度があるか
- 自分は対象になるか
- 必要書類は何か
- いつまでに申請すればいいか
- 他に使える制度はあるか
遠慮せず、分からないことは全部聞いてください。窓口の人は親切に教えてくれます。
私が相談に行ったとき、窓口の人が「こんな制度もありますよ」と、知らなかった支援まで教えてくれました。
まとめ:自立のチャンスを掴もう
自立支援金は、シングルマザーが経済的に自立するための強力な味方です。資格を取りたい、スキルアップしたいと思っているなら、絶対に活用すべき制度です。
「私なんかがもらっていいのかな」と遠慮する必要はありません。これは私たちの権利です。
まずは市区町村の窓口に相談に行ってください。きっと、あなたに合った支援制度が見つかります。一歩踏み出せば、未来は変わります。
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