家計の中で、住居費(家賃)は最も大きな割合を占める固定費です。この固定費を削減できれば、家計全体が劇的に改善し、貯蓄に回せる余裕が生まれます。
この記事では、シングルマザーが利用できる、家賃の負担を軽減するための公的な住宅支援制度と、それぞれの申請方法について詳しく解説します。
1. 家賃負担を直接的に軽減する公的制度
収入が安定しない時期や、住居を移転する際に特に役立つ、家賃そのものを補助する制度です。
1. 住宅確保給付金
- 概要: 離職や廃業、または個人の責任ではない理由で収入が減少し、家賃の支払いに困っている方に対して、原則3ヶ月間(最長9ヶ月間)の家賃相当額を支給する制度です。
- メリット: 家賃の滞納や住居の喪失を防ぐ、緊急性の高い支援策です。
- 対象: 収入や資産が自治体が定める基準以下であることが条件です。
- 申請方法: お住まいの地域の自立相談支援機関(多くの場合、市区町村の福祉課が窓口)に相談し、申請します。
2. 自治体独自の家賃補助制度
- 概要: 一部の地方自治体では、国とは別に子育て世帯やひとり親世帯を対象とした独自の家賃補助制度を設けている場合があります。
- メリット: 国の制度の対象外でも利用できる可能性があり、継続的な家賃補助が受けられることがあります。
- 申請方法: お住まいの市区町村の住宅課や子育て支援課のウェブサイトや窓口で確認が必要です。
2. 敷金・礼金などの初期費用を支援する制度
初期費用がネックで引っ越しができない場合に利用できる、低利子または無利子の融資制度です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金(住宅関連資金)
- 概要: ひとり親家庭の経済的自立を支援する目的の貸付制度で、住宅に関連する資金も対象となります。
- メリット:
- 住宅資金: 住宅の購入や新築、増改築に必要な資金。
- 転宅資金: 引っ越しに必要な敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用。
- 金利: 非常に低利子、または無利子で借り入れが可能です。
- 申請方法: お住まいの地域の福祉事務所(多くの場合、子育て支援課や福祉課)が窓口です。
3. 低額な家賃で住める公的賃貸住宅
家賃補助を受けるだけでなく、そもそもの家賃を低く抑えるための最も有効な選択肢です。
1. UR賃貸住宅(都市再生機構の賃貸住宅)
- メリット: 礼金、仲介手数料、更新料、保証人がすべて不要なため、初期費用を大幅に削減できます。また、子育て支援の一環として家賃の優遇制度を設けている時期もあります。
- 申請方法: URの営業センターやウェブサイトから申し込みます。
2. 公営住宅(市営・都営・県営住宅など)
- メリット: 所得に応じて家賃が決定されるため、市場価格より非常に安価に住むことができます。
- 注意点: 抽選制で人気が高く、所得制限があります。入居までに時間がかかることが多いです。
- 申請方法: 各自治体の住宅供給公社や住宅課が窓口です。募集期間が限られているため、定期的な情報チェックが必要です。
4. 制度を利用する際の重要なステップ
- 窓口への相談: まずは、お住まいの市区町村の福祉課(子育て支援課)または自立相談支援機関に足を運び、「家賃の支払いが苦しい」旨を相談しましょう。そこで、利用できる全ての制度を教えてもらうことができます。
- 所得の確認: ほとんどの制度は前年の所得に基づいて判断されます。源泉徴収票や確定申告書など、所得を証明する書類を準備しておきましょう。
住居費の負担が軽くなれば、子どもの教育費や貯蓄に回す余裕が生まれます。制度を最大限に活用し、家計を安定させましょう。
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