これまでの記事で、仕事と転職による収入アップ戦略を解説しました。安定した生活を送るためには、公的な給付金制度を最大限に活用すること、そして手に入れた収入を確実に貯蓄に回す家計管理術が不可欠です。
この記事では、特に重要な「お金の制度」と「家計管理」に焦点を当て、シングルマザーの方が知っておきたい具体的な知識と、家計を立て直すための最初の一歩を解説します。
1. シングルマザーの児童手当で損しないための年収ライン
児童手当や各種の助成金は、前年度の所得（収入から給与所得控除などを引いたもの）に基づいて支給額が決定されます。特に児童手当に関しては、所得が多いと**「特例給付」**に切り替わるか、支給対象外となる二段階の所得制限があります。
児童手当の「所得制限」と「所得上限」
- 所得制限限度額（特例給付への切り替え）：
- この額を超えると、児童手当の支給月額が一律5,000円（特例給付）に減額されます。
- 所得上限限度額（支給対象外）：
- この額を超えると、児童手当は一切支給されなくなります。
※扶養親族等の数によって金額は変動しますが、例えば扶養親族1人（子ども1人）の場合、給与所得者の目安として、所得制限限度額が年収約875.6万円、所得上限限度額が年収約1,210万円程度です。
知っておくべきこと
- 手当に縛られすぎない働き方: 所得制限ギリギリで働くことばかりを意識すると、結果的に年収が伸び悩み、生涯賃金で損をする可能性があります。目先の特例給付が減ることを恐れるよりも、長期的な収入アップを目指す方が賢明です。
- 所得控除の活用: 医療費控除や生命保険料控除など、所得から差し引かれる「所得控除」を積極的に活用することで、課税対象となる所得を減らし、給付金制度の基準をクリアしやすくなる場合があります。年末調整や確定申告を正しく行いましょう。
2. シングルマザーが貯金できない理由と最初の一歩
「毎月頑張って働いているのに、なぜか貯金が増えない」と悩むのは、シングルマザーによくある状況です。貯金できない理由は、**「計画性の欠如」と「万一への漠然とした不安」**が原因です。
貯金できない理由
- 「残ったら貯金」の考え方:
- 給料日を迎えて生活費を使い、残ったお金を貯金しようとしても、必ず「何か」の出費が発生し、貯金に回す分が残らないパターンです。
- 目的が曖昧な貯金:
- 「教育費」と「生活防衛資金（緊急時の費用）」が同じ口座に混ざっており、必要な時にお金を引き出すことに抵抗がないため、すぐに手を付けてしまいます。
貯金を始めるための最初の一歩
- 最初の一歩は「先取り貯蓄の仕組み化」:
- 給与が振り込まれたら、まず**「手取りの10%」**を目安に、貯蓄専用口座へ自動で振り替える設定をします。このお金は最初から「ないもの」として生活することで、確実に貯金を積み重ねられます。
- 生活防衛資金を最優先で貯める:
- まずは「半年分の生活費」を目標に、緊急時以外は引き出さない口座に貯めましょう。これにより、病気や失業時の不安が大幅に軽減され、貯金への意識がポジティブに変わります。
3. シングルマザーの家計が崩れない“最低限のルール”
家計を安定させるためには、お金を使う際の「ルール」が必要です。家計簿をつけるのが苦手でも、次の3つのルールだけは徹底しましょう。
- 固定費（家賃、保険、通信費）の徹底的な見直し:
- 一度見直せば継続的に節約効果が続くため、最も効果的です。特に、格安SIMへの乗り換えや、不要な保険の見直しは、毎月の手取りを増やすことと同じ効果があります。
- 変動費の中でも「使途不明金」を減らす:
- レシートのない少額の現金出費（コンビニや自動販売機）が積み重なると、使途不明金として家計を圧迫します。少額決済はなるべくキャッシュレス化し、履歴を把握できるようにしましょう。
- ボーナス（臨時収入）は貯蓄 or 投資に全振り:
- 臨時収入を生活費に充ててしまうと、家計が引き締まりません。臨時収入は全額、教育費や長期貯蓄など、目標の達成に使いましょう。
4. シングルマザーの引っ越し初期費用はいくら必要？
仕事や子どもの環境変化に伴い、引っ越しは避けて通れない課題です。特に、まとまった初期費用を用意できないことが、大きな壁となります。
初期費用の内訳と必要額
一般的な引っ越し初期費用は「家賃の4〜6ヶ月分」と言われますが、シングルマザーの場合は以下の工夫で費用を抑えられます。
| 費用項目 | 概算目安（家賃6万円の場合） | 節約ポイント |
| 敷金・礼金 | 0円〜18万円 | 敷金・礼金ゼロ物件を選ぶ。 |
| 仲介手数料 | 0円〜6.6万円 | 仲介手数料無料の不動産会社やUR賃貸を利用。 |
| 前家賃・日割り家賃 | 6万円〜12万円 | 契約日によるため、これは必須費用。 |
| 火災保険料 | 1.5万円〜2万円 | 必須費用。 |
| 引っ越し業者費用 | 3万円〜10万円 | 相見積もりを取り、平日やオフシーズンに依頼する。 |
| 合計 | 約30万円〜50万円 |
現実的に、家具・家電の買い替え費用も含めると、最低でも30万円以上の準備が必要です。初期費用を抑えるためには、公営住宅やUR賃貸の活用、そして**「敷金・礼金ゼロ」物件を粘り強く探す**ことが突破口となります。
経済的な知識と賢い家計管理術は、シングルマザーの生活に安定と安心をもたらします。制度を理解し、一歩ずつ計画的に貯蓄を進めていきましょう。
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